Deschouwer's Witloof (デスカウエル・ウィットローフ)
4日目は、ちょっと趣向が変わって、ベルギーの農産物の見学とモルト工場の見学である。
朝、ホテルを出発した我々は、ブリュッセル近郊にあるデスカウエル社に向かう。デスカウエル社は一昨日にDE
RARE VOS ドゥ・ラール・ボスでお会いしたGriet De Schouwerグリート・デスカウエルさんが社長を務めるベルギーチコリの輸出会社で、約30ヶ国にベルギーチコリを輸出しているという。
ベルギーチコリは、ベルギーを代表する作物であるが、ベルギーでは北部でWitloofウィットローフ、南部でChiconシコンと呼ばれている。日本ではチコリ(Chicory)、アンディーブ(Endive)などの名前で売られていることが多いが、ベルギーチコリという名も定着しつつある。サラダやグラタン、ポタージュ、煮込み料理など幅広く利用され、ベルギーのみならずヨーロッパ各地で欠くことのできない野菜となっている。
チコリの栽培方法は伝統的な畑での栽培と近代的な水栽培の2つが有るという。今回は、グリートさんの案内でその2つの栽培農家を見学することになった。
Brussels Grondwitloofの看板 |
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地元のお巡りさんも直接買いに来た |
グリートさんの車と我々の車の2台で農家を訪問する。最初は伝統的な畑での栽培農家で、農家の入り口には、Brussels
Grondwitloof Traditionele Teeltと書かれた看板が立てられていた。場所はブリュッセルとルーヴェンの間くらいである。
チコリは小屋の中の畑で栽培されていた。薄暗い小屋の中には何畝ものチコリ栽培の畑があり、チコリには日にあたらないように土が覆い被されていた。ここは17度の温度を保っているという。土も特別な土らしい。土からほんのちょっとだけ白い葉の先端だけが見える。チコリの収穫には土を掘り起こし、一つ一つ丁寧に取り出す。白い大きな塊と共に人参のような黒いものが付いている。それがチコリの根である。巨大な根を切り落とし、葉の部分だけを箱に並べていく。暗い場所で腰を低くして行う収穫作業は非常に大変そうである。チコリの根は、ここでは捨ててしまうとの話であったが、コーヒーの代用品として、また、利尿・強壮効果のある民間薬としても使われているようである。ベルギービールのスパイスとして使用されることもある。
小屋の中に畑がある。 |
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土が被せてあるのを掘り起こす。 |
食べるところは葉の部分。巨大な根は捨てる |
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チコリの根 |
小屋を出て、別の棟に移動すると、そこでは収穫されたチコリをきれいに大きさを揃えていた。外側の不要な葉を取り除き、販売できる状態に整える作業である。それにしてもチコリは瑞々しく大きい。日本で1個200円〜300円で売られているものと比べて倍以上の大きさがある。
さて、見学が終わり、次の農家へと向かう。
今度の訪問先は農家というより、工場といった感じである。ハイドロ栽培(水耕栽培、養液栽培)の業者である。
まず、チコリの根づくりから始まり、根を1.5m四方ほどのケースに並べる。それを何段にも積み重ねて、光が当たらないようにカーテンをする。チコリは水養液から養分を得て成長する。成長したチコリは1つ1つケースから取り出され、根を切断する。土の中から掘り出すのと比べていかに作業が楽なことか。あとはベルコンベアーに乗せられ、数人の皮剥き作業で整形される。それを袋詰めして商品として完成させる。
水耕栽培は、作業が楽で大量の生産ができるというメリットがあるが、伝統的栽培方法を見たあとでは、どちらが美味しいか、どちらを食べたいかということになると、伝統的栽培方法によるチコリと答えざるを得ない。なお、運転手のヤンさんはお土産にチコリの袋入りのものを1袋購入したが、5個入りでたったの1ユーロという破格の安さであった。
【データ】 |
Deschouwer's Witloof |
Verdunstraat 394-396, 1130 Brussel |
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Tel:32-2-15.25.76 |
Het Pomphuis (ヘット・ポンプハイス)
チコリ農家の見学が終了したあと、グリートさんだけ我々のマイクロに同乗して、アントワープに向かう。アントワープの港近くに着くと、グリートさんの弟さんであるPeter
De Schouwerペーター・デスカウエルさんが待っていた。ペーターさんは、午後見学を予定しているモルト工場のセールス・マネージャーを務めている。
ここでみんなで昼食ということで、Het Pomphuis ヘット・ポンプハイスというレストランに入る。アントワープ港のDroogdokに面したレストランで約200年前に蒸気エンジンによるポンプがある。ここから船がニューヨークに航海していった場所だという。
中に入るとそこは完全にレストランとして改装されていた。中央のカウンター席はグランド・カフェGrand-Cafeと呼ぶ部分、蒸気ポンプがある部分はポンペンザールPompenzaalと呼ぶホールなど内部はいくつかに区切られていた。
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レストランにある昔の写真 |
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レストラン内にある蒸気ポンプ |
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席について、料理を注文する。前菜はベトナム風で生春巻きである。ステーキはミルクラムのステーキで身が白っぽく柔らかい。付け合せのチコリを煮た物とマッシュポテトも美味しい。デザートは凝ったもので、パイン、バニラクリームにグレープフルーツのシャーペットを重ねたもの。
生春巻きで香草、焼き豚、エビを巻いたもの。
ソースは甘い |
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ミルクらむ。チコリを煮たもの。
セロリの葉とマッシュポテトを混ぜたストンプ |
デザート |
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デ・コーニンクの大きなグラスbolleke |
飲み物はワインが中心で、ビールの種類は極端に少ない。アントワープに来たのだから、地元のビールを飲まなければとデ・コーニンク生を注文。みんなこのビールを頼む。出てきたのは珍しくPrinskeプリンスケのグラスである。普通bollekeボールークーで出てくるのが一般的と思う。さすが地元で飲むだけあって発泡感もよくフレッシュで美味しい★★★。スムーズに飲めるのでもう一杯注文した。
De Koninck 樽生
Prinskeプリンスケ・グラス |
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Leffe 6 Brune樽生 |
3杯目は、レフ・ブリューン生を注文する。フレッシュでキレイな感じ。ちょっと温度が低めだったが、温度が上がるに連れ麦芽の甘味やカラメルの甘さが感じられてきた★★★。
お昼としては、満足に食べることがあまり出来ないこのツアーにしては、珍しくちゃんと昼食がとれた。
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