第4回ベルギー王国ビール探訪記(2)

初日(1)
1.出発から到着まで
2.La Villette

 出発から到着まで

STELLA ARTOIS 25cl 5.2%
ピルスナーらしい味わい。★☆
MAES DOUBLE FILTRATION A FROID
25cl 4.9%
ホップ香さわやかだが、味に深みなし。★

 成田空港に向かうべく、新宿から私(奉行)は与力、代官とともに成田エクスプレス9号に乗り込む。4人がけのボックス席は、1人空いている。前回も山田さんは、東京駅から乗り込んだので、東京駅到着時にホームの様子を覗っていたら、我々の車両の1台後方の車両の列に並んでおり、列車に乗車するのを確認した。1つ空いていた席もこの駅から乗車した方で埋まった。

 しばらくすると、山田さんがやってきて、早速のご挨拶。すると、山田さんは、我々の席に一緒になった方とも挨拶し、「こちらの方も一緒に行くんですよ。広島の呉から来た浜田さんです。ビア・テイスターの資格を持っているんですよ。」と紹介していただいた。浜田さんは、東京での地ビールのコンテストの際、審査員として東京においでになったとき、ボア・セレストで今回のビール・ツアーの話を聞き、参加することに決めたという。「ベルギービールというのを、1回はどういうものか見ておきたくて」と話す浜田さんと、成田空港へ着くまで地ビールとベルギービールの話で盛り上がった。

 空港では、奉行所の別働隊とでも言える清水夫妻らにも合う。我々よりも早い飛行機で出発することになっている。清水夫妻はルフトハンザ機でフランクフルト乗り換えでベルギーに着く予定。現地のホテルで合いましょうと約束して見送る。

 さて、ボアセレスト・ツアー一行も全員が揃う。飛行機は、毎度のブリュッセル直行サベナ・ベルギー機SN208。機内サービスの酒も相変わらずビールはMAESSTELLA ARTOISの2種類のピルスナーしかない。再び書くが、ホワイト・ビールやクリークが飲めるよ うにして欲しい。
 毎度であるが、100種類のベルギービールを味わおうするには、この機内の2種類のビールも鑑評し、飲んだビールの種類を増やさなければならない。
 さて、MAES DOUBLE FILTRATION A FROIDは、すっきりしてきれい過ぎる。アルコール度数4.9%というのは、ちょっと薄い気がした。調べると昨年は、5.1%あったではないか。0.2%アルコール度を低く変更したのである。山田さんは「ベルギーの“一番しぼり”というところでしょうか」と言っていた。私はSTELLA ARTOISのピルスナーらしい味わいの方に好感を持った。

 機内のビールが寂しい状況にも関わらず、ワインの方は、なかなかよい選択がされていた。白ワインは、フランスのCôte de Gascogne 1999 “MILLENIUM 2000”で、すっきりした辛口のワイン。赤は、南アフリカのカベルネ・ソービニョンで、しっかりした味わい。ベルギーまでの12時間はワインで過ごした方が快適。

   ★

 ブリュッセル空港に到着後、列車でブリュッセル北駅へ。そこから徒歩でシェラトンホテルに向かう。ホテルの格は、今まで泊まったホテルの中では一番良い。

 ウエルカム・ディナーの時間まで少しあるので、3人でグランプラスを散策する。クリスマスツリーがまだ広場中央に据えられており、周囲を取り巻くゴシック建築にもイルミネーションが施されるとともに、ライトアップされて、とても明るい。クリスマスと新年のお祝い気分がずうっと続いている様子である。日本では、デパートや商店街などの装飾は、クリスマスが終わるととたんに正月用に変わり、三が日が過ぎると正月気分も終わってしまい非常に慌ただしいが、それに比べると、なんとのんびり、ゆったりしたクリスマスなのだろうと思う。

 昨年、日本の地ビールメーカーのいくつかがクリスマス用ビールを醸造していたが、日本ではクリスマスの日に飲むために特別に造られたビールとして販売され、その日が過ぎてしまうと見向きもされない売れ残りの商品として扱われていたのを覚えている。しかし、ベルギーのクリスマスビールは、クリスマスの期間が長いので、特別な1日に飲むビールとしてではなく、冬の季節に味わう、ちょっとアルコール度数の高い、身体を温める(栄養価の高い)ビールとして、ベルギー人に愛されているようである。日本の地ビールのクリスマスビールが超限定醸造品なのに対して、ベルギーのクリスマスビールは定番商品といえよう。

 ラ・ビレット La Villette

La Villette
ビールを使った料理とベルギービールが楽しめる

 サン・カトリーヌ寺院そばのラ・ビレットで今回の参加者揃ってのウエルカム・ディナーである。店は山田さんが事前に選択していたお店である。レストランであるのでワインのメニューも豊富なようだが、ベルギービールにも同様に力が入っていて、オリジナル・グラスで多数の銘柄を提供するほか、ランビックビールの樽生まであるビールへのこだわり様である。
 まず、アペリティフApéritif "Maison"を(この店オリジナルのチェリーの入ったアペリティフ)をいただく。料理はこの食前酒を味わいながら、各自、食べたいものを注文する。私は,メイン料理に Anguille au wert partumées à l'ail(628bf)を注文する。

 ビールは、まずLambic Verre Glas (95bf)を全員で注文する。中身はカンティヨン・ランビックの樽生という珍しいビールであるが、私はこのビールの味に、なつかしさを覚えた。内モンゴルへ旅行に行ったとき味わったバター茶と同じ風味がする。その他樽味やさまざまな雑味があって、ランビックらしい。やや刺すような酸味があるのも、いかにもカンティヨンらしい。まだ、造られて間もないランビックのようで、発泡感もなく、泡もない。ランビックの場合、その熟成度合いによって極めて味わいが異なるのだということを知る。厳密にランビックを表現するなら、2週間ものとか、1年ものなどと造られてからどのくらいたったものかを表現しないと比較できないと思う。熟成期間が長くなるほど発泡感が増し、甘味がなくなりビールらしくなってくる★★★。

 このあとのビールは、それぞれメニューから好みのものを注文する。代官はカンティヨン同士比べようという趣向で、カンテヨン・クリーク Cantillon Kriek(5% 37.5cl 200Bf)である。鋭い酸味と香り、味わいがこれもカンティヨンらしい。新しいラベルのもので、Kriek 100% Lambicと書いてある。★★★★。
 同じクリークならと、私は Kriek Jacobus(Jacobins Kriek)(5.5% 25cl 110BF)を注文。このビールは、西フランダース州で造られる自然発酵ビールで、ヴァン・ホンセブロック醸造所のサン・ルイST.Louisと同様のビール。醸造所はボックオル醸造所(Br.Bockor)である。甘味を付けて飲みやすくしたランビックビールで、妙に薬くさいところもあっていただけない★★☆。

 その他、みんなでいろいろなビールを注文していたが、テーブルの向こうから「6つも来た!」との声。マレッツMaredsous 6の樽生Maredsous 6°Bieres au Futを頼んだら、グラスが6杯来てしまったのである。マレッツには、6(6には2種類ある)、8、10があり、メニューの樽生の項には、「Bel Pils」と「Maredsous 6°」のみ記載してあった。「マレッツ 6 をください」の意で「Maredsous 6!」と銘柄を言って注文したのが、ウエイターが「マレッツ 6杯ください」と注文したのだと誤解したのである。我々は、全員で9名いたので、結局は問題なくそれぞれの胃に収まった。樽生らしく香りがフレッシュで、ホップの苦味ががよい。軽い味わいがさわやか★★☆。

Apéritif
"Maison"
Lambic Verre Glas
(95bf)
Cantillon Kriek
(5% 37.5cl 200Bf)
Jacobins Kriek
(5.5% 25cl 110BF)
Maredsous 6°
Bieres au Fut
(95BF)
 そのほか、Tripppel Bornem (Br.Van Steenberge、9%)は、ちょっとボトルが古かったのか、妙な香味がして、評価の対象外。
 Charles Quint(Br.Haacht、7%)は、グラスが取っ手付きの陶器だったことを思い出して注文したのであるが、出てきたのはガラスで出来たオリジナルグラスで残念。ブラウンビールで、コクがある★★★。Charles Quintとは、神聖ローマ帝国皇帝カール5世のことで、ベルギーのメッヘレンで西暦1500年に生まれた。今年2000年は生誕500年記念で、ベルギーでも各地で記念イベントが開催されるという。ちなみに取っ手の由来は以下のとおりである。
アントワープから東へ約30km。オーレンの町で、カール5世はあるインに立ち寄り、そこのレストランでビールを注文した。宿屋の主人が大ジョッキの取っ手を持って渡そうとしたためジョッキを受け取ることができなかった。そこで、カ^ルは主人に金のコインを与え、これを使ってもう一つ取っ手をつけるように指示。主人は早速それに従った。しかしながら、またしてもカールは大ジョッキを受け取るこができなかった。というのも、主人今度は両方の取っ手を持ってしまったから。それならと、もう1枚の金のコインで3つ目の取っ手を取り付けた。しかし、今度は主人が3つ目の取っ手を自分の体に向けた状態でカールにジョッキを差し出してしまったため、結局カールは最後までジョッキを受け取れなかった。
 この日からこのインは「3つの取っ手が付いたジョッキ」で有名になり、オーレンにはこのジョッキを形どった泉がある。
      ※ベルギー トラベル マニュアル(ベルギー観光局発行)より
Tripppel Bornem
(9% 330cl)
Charles Quint
(7% 33cl)
La Chouffe Lucifer
(8% 33cl)
St.Bernardus Abt12
(10% 33cl)

 La Chouffe(75cl 8%)は、日本でも栢A島が輸入していたビール。現地で味わうフレッシュ感は、輸入されたビールとは、どうしても味わいが異なる。★★★★の満点の味わい。
 Bel Pils樽生は、Duvelを醸造するデュヴェル・モルトガット醸造所のピルスナービール。Duvelのような個性を期待したが、意外にも味わいが薄い、ポップの香りのフレッシュ感はある。★★。
 Lochefort 10は、コクがあって、しかし、軽さもあって飲みやすい。フレッシュ感はどうしても現地で飲むせい?。満点★★★★。日本では、重いコクのあるビールと誤解されているのでは?

 Lucifer(33cl 8%)は、デュヴェルを追随したビールとして有名である。泡立ちの良さは、デュヴェルと同等、風味もそっくり。香味コクよし。★★★☆。
 St.Bernardus abt 12 は、バナナの香が特徴で、コクもある。好きなビールの一つなのであるが、この時はやや硬質感があった★★★。逆に、日本に輸入されているものの方が、まろやかと感じるのは、不思議である。つまり、フレッシュな方がうまいビールもあれば、熟成した(または、ある程度期間を置いた)方がうまいビールがあるということである。

Villetteで注文した料理の数々
Anguille au wert partumées à l'ail

 ビールを使った料理もお薦めらしく、メニューには、Pavé de saumon à la bière blanche de Hoegaerden、Carbonardes Flamandes à la bière de Maredsous、Steak aux Fromages Belges à la Gueuze、Filet de poreà la bière et fromage d'Orvalなどビール名の登場する料理が掲載されていて、興味をひいた。

 山田さんは、今回もビールを提供する温度を極めるべく、温度計と比重計を出して、ビールグラスに入れ、データを収集している。ベルギービールを味わう時、その温度が適正な温度かどうかが大きく味わいを左右することがある。ワインにおいても温度管理がとやかく言われるのと全く同じなのである。
 前回もそうであったが、今回も旅行に同行して、研究熱心な山田さんには頭が下がる思いがした。(だからこそ、安心してお店=ボア・セレストのビールを味わえるのである。)

 みんな、それぞれビールを相当種類飲んで、美味しい料理に満足し、この店をあとにした。

Villetteのビールメニューはこちら

【データ】 La Villette (Rue du vieux Marchè aux Grains 3)
Tel:02 512 7550

(つづく)


はじめに 初日(2)

ベルギービールの魅力
酒蔵奉行所関連

Copyright(C) T.Nawa 2000 (bugyo-nawa@geocities.co.jp)

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送