第6回ベルギー王国ビール探訪記(17)

7日目(3)
3. 3 Fonteinen(ドリー・フォンティネン)(3)醸造所
4. 3 Fonteinen(ドリー・フォンティネン)(4)レストラン
5. 3 Fonteinen(ドリー・フォンティネン)(5)売店

  3 Fonteinen(ドリー・フォンティネン)(3)醸造所


売店入り口前

倉庫
アルマンさんとドリー・フォンテイネンに戻ってきて、醸造所を案内していただくことになった。いままではレストランを通り抜けて醸造所に行っていたが、今回はレストランの裏手にあたる売店から醸造所に入る。道路から売店に至る通路にはビール瓶が満載されたケースが山積みされて野ざらし状態だったが、これらはラベルが貼られた商品であって出荷直前のものなのかもしれない。売店に入って左の奥の扉を入ると、そこはやや物置に近い保管倉庫になっていた。
 この保管庫には驚くべきことに最近(2002年11月)閉鎖されたオッド・ベールセルOud Beerselのグーズとクリークの瓶が相当な数が保管されていることが確認された。ランビックの醸造所では最も小規模ながらその併設カフェで本当に美味しいランビックを提供していたオッド・ベールセルであるが、2002年EUの新たな食品法制定により、閉鎖を余儀なくされたのであった。
EU食品法第7条「予防原則」

1.利用可能な情報の評価の後に健康に対する有害な影響の可能性が認められるが科学的不確実性が存続する特別の状況においては、一層包括的なリスク評価のためのさらなる科学的情報を待ち、欧州共同体において選択される高レベルの健康保護を確保するために必要な暫定的なリスク管理手段を採択することができる。
2.前項に基づき採択される措置は、欧州共同体において選択される高レベルの健康保護を達成するために必要とされる以上に貿易制限的でなく、均衡あるものでなければならず、技術的・経済的な実行可能性及び考慮中の問題において合法的とみなされるその他の要因が顧慮されねばならない。これらの措置は、認められた生命または健康へのリスクの性質及び科学的不確定性を取り除き、一層包括的なリスク評価を行なうために必要とされる科学的情報のタイプに応じて定められる妥当な期間内に見直されねばならない。」
新たなEU食品法の指導原則を設定する規則は、「安全な食品・飼料のみを供給し・安全でない食品・飼料は市場から回収する食品・飼料産業の責任、すべての食品・飼料・飼料成分の追跡可能性(トレーサビリティ)などが含まれる」。というもので、空気中に含まれる野生酵母、さらには空気中のホコリまでも原料であるとまで言っているランビックビールは、いかに伝統あるものとはいえ、新EU食品法においては安全な食品とはみなされないし、また、科学的不確定性さそのものに近い食品と言わざるを得ない。新EU食品法制定は、開放タンクによる発酵に対し厳しいもので、開放型発酵槽によるビール醸造の危機であり、さらに自然発酵というランビックビールそのものの存続の危機であったのだが、とりあえず伝統あるランビックビール醸造は続けることができるようになった。だが、設備の衛生面での改善は必要で、そのための資金が無かったオッド・ベールセルは廃業したのである。
 また、OBPの後身であるベルギービールの消費者団体ZYTOSによる復活支援運動も効を奏さず、オッド・ベールセルは廃業してしまった。
 さて、廃業したオッド・ベールセルの在庫は、アルマンさんの話によると、フランク・ボーンと2分して分け合ったとのことである。それで、ドリー・フォンテイネンで、その在庫を販売していたのである。

 倉庫から再び奥の扉、この扉は横開きの重く厚い扉で、これを開けて中に入ると、そこは以前にも見学した醸造設備が並ぶ部屋であった。設備はもう紹介済みなので改めての紹介は省略する。


Gaston と Armand Debelder
設備見学中に、アルマンさんのお父様が姿を現した。ドリー・フォンテイネンの開業者のガストンさんである。ガストンさんは1953年にドリー・フォンテイネンを開業し、今年(2003年)は丁度50年という記念すべき年であった。ガストンさんはこのとき85歳で、アルマンさんは52歳だという。アルマンさんは、ガストンさんを「パパ」と呼び、我々を日本から来た客であると紹介してくれた。ガストンさんはにっこり笑って、醸造所から出て行った。
醸造設備の部屋の隣は、樽が並ぶ部屋。1998年の初めて自家醸造したときの樽や1999年製の樽、「L]の文字のあるボーンの1998年や2002年の樽などが並んでいたが、かって訪れた時とは比べ様もないくらい樽の数が減っていて、また、ジタルダンやリンデマンスの樽もここには見当たらなく、樽熟成の本拠を別棟に移しているようだ。
 2002年からは、レストランと醸造所との経営を別とし、醸造所はアルマンさんが社長としてBrouwerij 3 Fonteinen AD Bieren bvbaを起こし、.ドリー・フォンテイネン銘柄のランビックの他に、Proefbrouwerijに委託醸造してもらってベールセル町のご当地ラベルであるBeersel Bio, Beersel Blond, Beersel Tarweといったビールも販売している。レストランは弟のギドさんの経営で、アルマンさんはランビックビール造りに、さらに集中できる体制になったようである。

  3 Fonteinen(ドリー・フォンティネン)(4)レストラン

醸造所の見学が終わり、地下から細い階段で1階に出る。ちょうどそこは、カウンターの脇でとなっている。そのあと、アリマンさんは、レストランの裏へ出て、奥のパーティ・ルームがある建物に我々を案内した。このパーティ・ルームは80名が入れる部屋である。通常はレストランの席数で十分なので、トイレに行く途中で覗き見したことはあったが、実際我々がこの部屋に入り、食事をするのは今回が初めてである。
メニューを見せていただくと、ビールはドリー・フォンテイネンのビールのほかにもヒューガルデン・ホワイトやデュベル、オルヴァル、ウエストマーレなど15種類のビールが並んでいた。ワインも大瓶1本20ユーロ前後のものを中心に、相当数揃えている。8ページに渡るワインリストには、ボルドーの同じシャトーのヴィンテージ違いやハーフ瓶まで掲載されており、そのきめの細かい品揃えは、日本のレストランもかくあるべきと思わせるワインリストであった。
料理の品数も多いが、我々はここではいつもベルギーを代表する料理の盛り合わせを注文している。ウサギ(グーズ煮)、子牛、牛、ターキーが1枚のプレートに盛り合わせになったもので、さらにいつもはムール貝は別の器で出ていたのが、今回はムール貝の器まで一緒のプレートに乗ってでてきた。これでいろいろの種類が一度に食べられるので日本人にはちょうどよい。付け合せのフリッツは別皿である。
さて、味わったビールであるが、すでに試飲で随分いただいている。ここでは、クリークの樽生をまずいただく。ドリーフォンテイネンのクリークといえば、瓶は甘くなく、樽は甘口ということで全然異なる味わいのビールであった。しかし今回のクリークは甘味が抑えられていて、いままで味わってきた樽のクリークとは別者であった。瓶のものに近い。まろやかで飲みやすく、ワインのようである。ハンドポンプで供される。ただし、なんとなく腐敗したような果実の香味は変わらない。★★★。次にいただいたのは、ファロである。甘くなく酸味があり、香りにはちょっとハンセンスのような独特の香りもある。さわやかに飲め、驚きの味わいである。★★★★+。

Kriek

Faro

 3 Fonteinen(ドリー・フォンティネン)(5)売店


直売所(Winkel)

3 Fonteinenと Oud beerselを購入
食事が終わり、レストランを出て裏にある売店でビールを購入する。販売していたのは、ギドさんの奥さんである。売店の棚にドリー・フォンテイネンやベールセル各種、グーズとクリークのオッド・ベールセル大瓶・小瓶が並ぶ。ビールの詰め合わせセットやランビックの本などもある。これらがここで購入できるとは嬉しい。みんなで購入するものだから、棚のビールはすぐに売り切れてしまった。奥の倉庫のビールを出せばよいのだが、アルマンさんの許可がないと出せないのか奥のビールはもう出してくれなかった。
 ビール購入の後、ベールセル村を離れたが、途中、オッド・ベールセルの跡地を見ていこうということで車を寄り道させようとしたが、運悪く工事中で進入できず、閉鎖されたオッド・ベールセルをこの目で見ることはできなかった。
【データ】 BROUWERIJ 3 FONTEINEN Hoogstraat 2A 1650 Beersel
Tel: 02/306.71.03 Fax: 02/305.07.41
http://www.3fonteinen.be/index.htm
RESTAURANT 3 FONTEINEN Herman Teirlinckplein 3 1650 Beersel
Tel: 02/331.06.52 Fax: 02/331.07.03
営業時間 12:30〜15:00、18:00〜21:30
http://www2.resto.be/minisites/driefonteinen.restaurant/

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