第5回ベルギー王国ビール探訪記(6)

3日目(2) アントワープ
4. De Koninck デ・コーニンク醸造所
5. De Pelgrim ペルグリム
6..De Villa
7. ホテルにて

 De Koninck デ・コーニンク醸造所

 アントワープ旧市街を出発して、南に向かう。デ・コーニンク醸造所の駐車場に到着。事務所の方まで歩いていく。すぐにマイケルジャクソンの本にも出てくるビア・カフェ、ペルグリムを発見。醸造所の入り口は、ペルグリムの向かい側である。ここはあとで訪れる。
 まず最初、ブルワリーのゲストルームというか醸造所内のビアカフェに通される。案内は、輸出担当のフレッド・ボナールスFred Bonaersさん。そのあと、まず、醸造所の古い設備を見学する。赤レンガの建物である

 デ・コーニンク醸造所は、長らく唯一「デ・コーニンク」という銘柄のみ醸造していたが、1993年、'Antwerpen 93' (アントワープの年)に、「Cuvee Antwerpen 93」を醸造。その後、「キュベ・デ・コーニンク」として醸造を続ける。1999年、'Antoon Van Dijckyear'(画家アントン・ファン・ダイク生誕500年)を記念して「アントーン」を醸造。現在3種類の定番ビールを醸造している。
 古い麦芽破砕機。モルト2種類とホップの説明を受ける。カラメル・モルトはキュベ・デコーニンクに、ペール・モルトはアントーンに使用する。副原料は一切使用しない。ホップはチェコ産のザーツホップオンリー。ペレットでなく、新しいものを乾燥させたものを使用している。また、イーストはマル秘とのこと。
 古い醸造設備を見学。開放式の発酵槽などを見る。
これらの設備は現在使用していないという。開放式の発酵槽は自然酵母が入ってしまうという。

Toll Hand
ベルヘム側
手のひら
横から見た所
左がベルヘム側
アントワープ側
手の甲
デ・コーニンクのロゴ
 古い設備を見たあと建物を出ると、敷地のなかに石碑があった。
 その由来は、アントワープ市の境界に、'De Plaisante Hof(愉快な庭)という場所があった。そこは中世には絞首台があり、犯罪者が死刑にされていた場所である。アントワープとベルヘムBerchemの境界にあたるPlaisante Hofの前には石の境界を表す石碑があり、商人が街に入るのに税金を取っていたが、この石碑の場所までは税金がかからなかったという。
 実際、この石碑にはベルヘム側には手のひらが描かれ、「ここまで」という意味を表している。アントワープ側は手の甲が描かれている。
 このtoll handはデコーニンクのラベルに描かれている。デ・コーニンクのこの手のデザインは、アントワープ市の象徴であるブラボーが持つ巨人の手首かと思っていたが、それは間違いであることがわかった。(でも石碑は右手、ラベルは左手であるのが不思議)
 そして、1833年に醸造所が開業した時には、この石碑があることから、「De Hand」(ハント)という醸造所名で呼ばれた。現在のデ・コーニンクが使われるようになったなったのは1845年からである。

 昔は、アントワープにも数多くの醸造所があったというが、今は唯一の醸造所となっているという。(※’Pakhuisのことは無視しているようだ。)
 そのあと見学したのは、現在の醸造所。
 古い醸造設備とは規模が違う。あまりにも巨大な設備である。これらはコンピュータールームからコントロールされた最新の設備である。こうい設備を見せられ、いかに衛生的で安定した醸造ができるか説明を受けても、どうも感動が起きない。
 その後、醸造所内の邸宅部分を見学し、古い醸造道具などを見た後、ふたたびゲスト・ルームに戻る。そこで、ビールを試飲。
ビールを注ぐエリックさん
KERSTBIER DE KONINCK 樽生
(6.5%)
Br.De Koninck
ANTOON 樽生
(6%)
Br.De Koninck NV
 ビールを注いでくれたのはエリックさん。気前よく注いでくれる。グラスが空く前から次のビールを注いでくれるのだ。「どうぞ、どうぞ」と非常に勧め上手。また、ビールが非常に美味しく、すいすい入ってしまうので、ついつい新しいグラスを差し出されると受け取って、また飲んでしまう。返却したグラスを洗い、タオルできれいに拭くが、材質はコットンよりもリネンの方がよいなどと話していた。
 このときいただいたビールは2種類で、一つはANTOON 樽生。フレッシュで軽快。なめららかスムーズ★★★★。もう一つはデ・コーニンクのクリスマス・ヴァージョンでKERSTBIER DE KONINCK 樽生。アルコール度数が通常より高い6.5%もあるにもかかわらず、これもすいすい飲めてしまう★★★★。グラスは、Bollekeボールークー。

社長のModeste Van den Bogaertさん

フレッドさん(右)
 しばらくすると、社長さんや副社長さんなど経営者一族がみな現れて、挨拶。エリックさんはますます、ビールを注ぎまくる。特に我々一行の女性にサービスがよく、どんどん注いでくれる。2種類しかないのに、これを何倍もお代りしている。このときは「美味しいから」と飲んでいたが・・・。ベティさんちょっと飲みすぎ?
 山田さんは、醸造所に頼んでおいたというビールの守護聖人アルノルドスの木彫りの像を受け取り、非常に満足気。

 このあと、醸造所の向かいにあるカフェ・ペルグリムPelgrim に一緒に行きましょうということで皆で向かう。
【データ】 Brewery De Koninck
Mechelsesteenweg 291 - B-2018 Antwerpen Tel. +32-3-218 40 48 - Fax. +32-3-230 85 19
月〜金/11:00-26:00 土・日/12:00-26:00 無休
http://www.dekoninck.be

 Café Pelgrim ペルグリム

  Pelgrim ペルグリムは、醸造所直営のカフェである。行くとちょうど醸造所終業後ということで、醸造所の社員の人たちなどでにぎわっていた。
 メニューには、デ・コーニンク醸造所の樽生ビール3種類以外には、ベルギー以外の国のビールも含めて13種類載っているだけである。お店の客は、ほとんどの人がデ・コーニンクを飲んでいる。
メニュー
 ここでは、デ・コーニンク醸造所から直接持ってきたビール酵母をビールと一緒に飲むことができる。酵母はピッチャーからショットグラスに移され、ビールに添えられて提供される。ただし、特別に酵母を注文しないと、出さないようである。まず、ビール酵母の液体を舐めてみる。苦い。美味しいものではない。
 ビールは、まず、醸造所のカフェで味わえなかったCUVÉE DE KONINCK(瓶)をまず飲む。アルコール度数が8%あるのでコクが豊かなビールである。これに酵母を少し加えてみる。さらにコクや風味が増す。次にDE KONINCK 樽生で試す。 ANTOON 樽生でも試す。
 入れた酵母は生きている酵母であって、瓶底の澱とはまた異なるものである。よく瓶の澱を入れた場合、コクが増すが雑味も増す。しかし、この生きている酵母の液体を入れた場合、雑味感は全く無く非常にクリアーなコクとなってビールがとても美味しいのである。
 本当は酵母をビールに入れてはいけないようだ。ちょっと酵母の苦味を味わってからビールをいただくのがこの店の流儀らしい。

CUVÉE DE KONINCK
※酵母付き (6% 33cl)
Br.De Koninck NV

ANTOON 樽生

(6% 33cl)
Br.De Koninck NV

DE KONINCK 樽生
※酵母を入れた状態 (6.5% 25cl)
Br.De Koninck NV

De Koninckの酵母を
ピッチャーからショット・グラスに注ぐ。

【データ】 Café Pelgrim
Boomgaardstraat 8-10 ,2600 Berchem TEL (03)218 91 30

 De Villa

 夕食は、デ・コーニンク醸造所の人たちと一緒にお食事会。醸造所推奨のレストランに一緒に向かうが、醸造所の人たちの車の先導のもと、我々の2台の車がよく付いて行けたと思う。 場所は醸造所から随分離れたところ。
 レストランに入り、席につく。醸造所の人たちも一緒である。
 このお店には、紙に書いたメニューがないという。その日その日の食材でメニューを変えるので、メニューは口で説明するのだという。醸造所の人も含めた10数人のグループの真中で、メニューを英語で説明をし始めた。どうもノルウェー・サーモン、仔牛フィレ、鹿フィレの3種類から選べばよいらしい。私は鹿フィレで、レアで注文した。
 料理に合わせる飲み物は、さんざんこの日飲んだデ・コーニンクビールではつまらない。ビールはやめてワインで行く。最初は、シャンパン。次に白ワインは、ドメーヌ不明だが、コルビエールの白1999年。赤ワインは、コスティエールド・ニームのCh.de Nages1999。
 もちろん、このレストランは醸造所の人が連れてきただけあって、ビールはデ・コーニンク。テーブル上にはデ・コーニンク・グッズで溢れている。

メニューの説明

卓上にはデ・コーニンクの旗

デ・コーニンクのコースター入れ

エクルビス(ザリガニ)

仔牛フィレ

鹿フィレ
 
ベティさんトイレ引きこもり事件
 料理は美味しかったが、事件発生。ベティさんがトイレから出てこない。中山さんが見に行くが、そうとう具合が悪いという話。細井先生が、急遽本業の医師としてベティさんを看護。どうも、醸造所でビールを飲みすぎたのがたたったらしい。車で横になって安静状態に。気の毒に、彼女は美味しい料理を食べず仕舞いということになった。
 現在も彼女は後悔しているらしい。「デ・コーニンク」なんかいつでも飲めるのに、あんなに勧められるまま飲んじゃって、そのあとの美味しい料理を食べそこなったなんて、悔やまれて。悔やまれて。」と。

 さて、会計。以前、ボステールス醸造所の人たちと会食した際、ごちそうになったことがありが、今回ももしかしたらということを山田さんは思っていたらしい。しかし、なんということ、醸造所の人たちは、我々がごちそうすると思って一緒に来たらしい。道理でいっぱい付いて来たわけだ。「え〜。我々がごちそうするの〜?」

 醸造所の人たちとはレストランで別れ、我々はブリュッセルへ戻った。
【データ】 De Villa
Hoek Mexico-Limbastaat 1, 2030 Antwerpen Tel.: 03/232 42 43

 ホテルにて

 この日後半、デ・コーニンクばかり。夜、眠れないので購入していたビールを飲む。
 ROMAN OUDENAARDSは軽く発泡感あるが、泡立たない。リーフマンと同じブラウンエールだが、完全にろ過されていて今一つ★☆。ベルギーで飲まれているビールの約7割がピルスナータイプのビール。小さな醸造所でもピルスナーを醸造している。今日本ではベルギービールといえば、何らかのスペシャルビールというイメージだが、ステラ・アルトワやマースより絶対旨いピルスナーだって存在するはずである。そう思ってちょっと異端ではあるが、ピルスナーも買ってみた。LOUWAEGE'S PILSは、私の思惑とははずれ、やや味わいのあるピルスナーではあるが、ちょっと酸味があって個性というよりクセのあるピルスナー。残念ながら高得点とはならなかった★☆。PASSENDALEは新しいデュベル・モルトガット醸造所の製品。ブロンド・アンバービールと書いてあるが明るいブロンド。泡立ちはデュベルのように非常によい。濁っていて香り高い。ちょっと酸味がきになる作り。★★☆

ROMAN OUDENAARDS
(5% 25cl)
N.V.Roman

LOUWAEGE'S PILS
(4.5% 25cl)
Br.Louwaege

PASSENDALE
(6% 25cl)
Br.Duvel Moortgat
この時までに飲んだビールは39種類。まだまだいいペースでビールを飲んでいる。

3日目(1) 4日目(1)

ベルギービールの魅力
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