第5回ベルギー王国ビール探訪記（5）


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第5回ベルギー王国ビール探訪記（4）

２日目(2)

5.Bouillon ブイヨン

6.Le Marché de Nathalie
　　/Brasserie de Bouillon ブラッセリー・ド・ブイヨン

7.Le Baratin ル・バラタン

8.le Mont Blanc　モンブラン

9.ホテルにて

　Bouillon　ブイヨン

　ブイヨンの町についた。
　ブイヨンは第1回十字軍の司令官の一人、Godefroi de　Bouillon　ブイヨン公ゴドフロワの居城がある場所。なお、ブイヨン公は第1回十字軍中の1099年、エルサレムを占領。諸侯に推されてエルサレム王国初代統治者となる。1100年、エルサレムで死去。
　ブイヨン城は現存する最古の城で、中世の雰囲気を残した古い街である。曇った天気に妙に湿気を感じる。ブイヨンの街は山の中でＵ字形に屈曲したスモワ（Semois）川に囲まれた川が取り巻かれている。その川の水面が異常に高い。

　Le Marché de Nathalie/Brasserie de Bouillon ブラッセリー・ド・ブイヨン

　山の中なので坂が多い。いろいろ迷ってやっと着く。Brasserie de Bouillonは、ビアショップ、Le Marché de Nathalieが経営するマイクロブルワリーである。このビアショップにはビールが300種類もあるというマニア向けのビアショップで、そうしたマニア心が高じてブルワリーを始めたのかもしれない。醸造設備はビアショップの奥にあり、何の仕切りもなく設備が設置してある。出入り自由。雑菌などはいらないのか、衛生的にどうなのかと思ってしまう。

　ミニ醸造プラントはイタリアのVeloデザインのベルギーJ.Legendre製のもの。こうした小型プラントはMeura製のものが多い中、珍しいと思った。ホップは３種類、モルトは４種類使い、常時７種類のビールと季節ビールを醸造するという。年間生産量は40キロリットル。

醸造しているビール
（左から）
La Speciale Fetes/
La Saison des Chasses/
Tentatoin de La Semois Ambree/
La Bouillonnaise Brune/
Cuvee de Bouillon Blonde/
LA MEDIVALE Ambree

　醸造所の見学を終えると、棚に並ぶビールをチェックする。何せ300種類のビールというのだ。ブイヨンの自家醸造ビールにも興味はあるが、棚に並ぶ見たことのないビールだって、より気になる。
　こちらは車で来ている。まだ、旅のはじまりである。いくら購入してもホテルで飲めばよい。などと思うと、どんどんビールをカゴに入れてしまう。皆それぞれ、相当な数のビールを購入し、満足した様子である。

【データ】	La Marché de Nathalie/Brasserie de Bouillon
	Grand' Rue 22, 6830 Bouillon 　TEL: 061 468940

　Le Baratin ル・バラタン

　ブラッセリード・ブイヨンのビールを購入したが、せっかくだからこの街でブイヨンのビールが飲みたいということで、お店の人にビア・カフェを教えてもらったら、近くの教会のそばにあるLe Baratinという店を紹介されたので、早速行ってみた。　


メニュー

　メニューには、樽生３種類の他、25種類のビール（うち地元のビールが５種類）がメニューに掲載されている。ブイヨンのビールは３種類掲載されているが、ブイヨンのビールは瓶だけである。聞いたらブイヨンの瓶ビールを３種類持ってきたが、樽は無いということ。瓶ビールはさっき購入したばかりなので、やはり知らないビールを飲もうということになった。
　

GODEFROID（GODEFROY) 樽生
(5.3%)
Br.Duvel Moortgat

TcHAFÈTE
(6% 75cl)
SCRL.Coopérative de la Basse-Semois

　樽生のGODEFROID（GODEFROY)（70BF）は、十字軍の英雄、ブイヨン公の名をとったビール。醸造所名はメニューには記載がなく不明だったが、Tim Webbの第3版ではデュベル・モルトガット醸造所のビールとある。その後の第４版ではDu Bocq醸造のところに記載がある。特定の醸造所と関係なく、委託して醸造される銘柄なのであろう。委託しているのは、Brasserie du Grand Enclosというところ。ややアンバーな色だが、泡立ちよく、クリーミィで、コクのある美味しいピルスナーのようにぐいぐい飲める。★★★☆。
　次にお薦めビールを訪ねると、TcHAFÈTE（240BF）というビールを薦められた。頼んでみると知らない醸造所である。最近できた地元の新しい醸造所だそうだ。ノンフィルターのビールで、セゾンビールの味がする。柔らかい喉越しで、旨い。★★★☆。「テチャフ」と読むのだそうだ。

　夕食時まで、このカフェでのんびり。お店の人ともいい雰囲気になり、ピアノが備え付けられていたので、山田さんは、ここでジャズを一曲、弾きだした。地元の人にも歓迎され、さらにうちとけたひと時を持つことが出来た。

【データ】	Le Baratin ル・バラタン
	12 Rue des Augustins, 6830 Bouillon TEL 061.46.82.44
	10:00～

　le Mont Blanc モンブラン

　さて、夕食である。予定ではレストラン・ムーニア・グリルという店を訪ねることになっていた。しかし、車で川沿いを走り、その店がある通りまで来ると通行止め。しかたなく山側から別の道でいくと何か変。このあたりの店はやってなさそう。目的の店の前までくると、店員がなにかホウキを持って作業中。
　なんと、洪水だったという。川の水が溢れ、店の中まで入ってきたので、その水を泥と一緒に掻きだしているいるのだという。とういうことで、この店はあきらめざるを得ない。
　どこかないかと、再びLe Marche de Nathalie、ブイヨンの醸造所を訪れ、お店を紹介してもらう。紹介してもらった店はやはり川沿いなのだが、こちらは大丈夫そう。le Mont Blanc モンブランというお店である。


メニュー

　夜の料理には、ワインをいただくことが多いのだが、メニューを見ると特にビールについて取り上げるほどではない。しかし、ちょっと目に止まったものに、ルクセンブルクのビールがあった。珍しいので、飲んでみることにした。
　最初は、DIEKIRCH GRAND CRU（85BF)である。アンバーな色あい。発泡感が弱い。ろ過されたビールであまり楽しめない。★★☆。つぎに頼んだのは、DIEKIRCH 樽生（60BF)である。普通のピルスナーで香味がおとなしい。特長に欠ける。★☆。　

DIEKIRCH GRAND CRU
(5.1% 33cl)
※ルクセングルク大公国のビール

DIEKIRCH 樽生
(？% 25cl)
※ルクセングルク大公国のビール

　料理のメニューは、フランス語で書かれている。私はサーモンを食べた。

Grand Assiette de Saumon Fumé à l'ancienne par le patron

　食事をすませ、店を出ると山の上にあるブイヨン城がライトアップされている。ブイヨンまで来てブイヨン城を見ないなんて変わったツアーであるが、それが山田ツアーなのである。でも細井先生の奥様は「ぜひ、お城は見たかったわぁ～」と残念そう。
　車は2台とも無事にブリュッセルに戻った。

【データ】	Le Mont Blanc ル・モンブラン
	3 Quai du Rempart, 6830 Bouillon TEL 0032(61)46.63.31

　ホテルにて

　ホテルに着いたのは結構遅い時間なので、これからビアカフェに出かけられそうにない。
　幸いこの日は、ブイヨンでたくさんのビールを購入してきた。どんどん飲んで、また新しいビールを購入すれば、100種類のビールの制覇も比較的楽勝か？昼にあまり種類を飲んでいない日は、どうしても夜、その分頑張ろうという気になる。
　部屋では、最初７本空け、風呂あがりに１本。
　まずは、ブイヨン醸造所のものから。LA MÉDIVALE Ambréeは、アンバーといいながら、色調はブロンド。酵母入りでコクがある★★★。LA SAISON des CHASSES Blondは、スパイシーである柑橘系の香味がある。濁りありコク★★☆。
　SAISON REGALは、セゾン・シリーをやや弱くした柔らかな感じ。アンバー。軽くろ過されていてが、瓶底の澱を入れるとコクが出てきて美味しい★★★。DENDERMONDE Tripelは、Satanを作っている醸造所。非常にスパイシーでほんのりした甘さと辛さがバランスよい★★★☆。MAREDSOUS Brune 8は、泡立ちよし、タバコの葉の味、苦味、スパイシー★★★。SUPER des FAGNES Blondはクリアーで麦芽の甘味がある。地ビールの域を出ない★★。SUPER des FAGNES Bruneもクリアーで、地ビールのよう★★。
　風呂上りの１杯は、TIMMERMANS FARO。ランビックにキャンディーシュガーを加えて甘くしたビール。発泡感とほのかな酸味とほのかな甘味がバランスを保っている★★★。