第5回ベルギー王国ビール探訪記(14)

6日目(2) ランビックの日
2. Brouwerij De Trock ドゥ・トロック醸造所
3. Kasteel Gravenhof カステール・グラーフェンホフ

 Brouwerij De Trock ドゥ・トロック醸造所

 ランビックの日、2ヶ所目。つぎのランビック醸造所は、De Trock ドゥ・トロック醸造所。フルーツランビックビールとして有名なChapeauシャポー銘柄を醸す。ドゥ・トロック醸造所は1795年からこの土地でビールを醸造している。現在の社長は、De Troch家系のJos Raes氏。
 甘味のあるフルーツ・ランビック主体の醸造所なのにもかかわらず特別な期待を込めてこの醸造所にやってきたのには訳がある。それは、甘味を付けていない本物のグーズ”キュベ”が存在するからである。

 さて、醸造所のあるWambeekワンベークの町はブリュッセルの西10キロほどにある小さな町。ランビック醸造に欠かせない野生酵母が浮遊しているペヨッテンランドに位置し、町の名にBeek(小川)の名がつき、いかにもランビック醸造に向いている雰囲気を持っている。
 醸造所に着くと、早速見学。レンガの煙突がある建物が醸造所で、扉を入ると、建物が創業当時ままなのか相当に古い感じで、さらに照明も薄暗く歴史を匂わす造りである。
 一階には、銅製の開放タンクや薄汚れた樽などが置かれている。

2階で冷やされたウォートは1階のタンクへ

2階の醸造釜
 階段を上り、2階へ。醸造設備のほとんどはこの2階に集まっている。マッシュ・タンクや銅製の醸造釜、冷却槽など本当にこの設備で醸造しているのかと疑わしいほど、使い込まれた設備である。使用されている樽も相当古い古樽のようである。新樽は全く見当たらない。「L」の文字がチョークで書かれた間違いなくF.Boonボーンの樽と分かる樽があったが、ボーンからのお下がりであろうか。

冷却槽

マッシュ・タンク

冷却槽

樽貯蔵庫(1樽約650リットル)

蜘蛛の巣が張った樽

なぜかBoonボーンの樽もあった。
 ここまでの工程を見る限り、先ほど見てきたカンティヨン醸造所が作る伝統的ランビックの醸造工程と全く同じである。このまま変に加工せずに伝統的ランビックとして市場に出せないのであろうか。
 このあとどこでどうして甘くなっちゃうの?
炭酸ガスを注入する装置
 完成したランビックは古いランビックとブレンドされグーズになるもの、加糖されファロになるもの、フルーツジュースが加えられフルーツランビックになるものに分かれる。ビールは低温殺菌され、炭酸ガスが失われてしまうが、炭酸ガスを注入することによりガス圧を保っている。
 ランビック醸造所としての基本的ランビック醸造部分がいかにも旧式な伝統的なものに対して、瓶詰め設備は、最新の高額な設備を導入している。

衛生管理を強く主張するJos Raes氏

自慢の設備
 工場をあとにして、母屋の方に移動する。案内された部屋の棚には昔のボトルや現在の商品などが陳列されてある。Jos Raesさんは、ビールを並べ気前よくビールの栓を抜いてくれる。しかし、全員にCHAPEAU KRIEKシャポー・クリークである。ちょっと寂しい。甘くフレッシュで美味しい★★☆。
 全員に全種類のビールを1本づつ開けようというつもりだったのかは不明であるが、全部は無理なので、いろいろなビールを少しづつ栓を抜いてもらうことにした。
  
ビールを注ぐJos Raesさん

CHAPEAU KRIEK
(3.5% 25cl)
Br.De Troch

B12 ENERGY BEER
(3.5% 25cl)
Br.De Troch

CUVEE CHAPEAU
(5.5% 37.5cl)
Br.De Troch

CHAPEAU LEMON
(3.5% 25cl)
Br.De Troch
 つぎに出てきたのは、B12 ENERGY BEER。見たことのないビールである。味わいは酸っぱいバナナ味で面白い酸味を感じるが、変わったものとしか思えない★★。とにかくジュースの類に近い飲み物である。以前、ヴァン・ホンセブロック醸造所を訪ねた時、「K8」というコカ・コーラ味のビールビールを開発したいきさつを聞いたが、このビールもそういうことのようである。若者向けにもっと飲まれる飲み物を製造しなければならないということで、売れなければ、ランビックの醸造所自体が廃業してしまうとの危機感があるようである。
 CUVEE CHAPEAU。このビールを望んでいたのである。フルーツ・ランビックを醸造しながら、本格的ランビック・グーズを製造していたのである。酸味が強く刺激的である。★★★★。このビールがもっと売れ、日本にも輸入されるとよいのであるが。そういう話はないようである。輸入業者が「輸入しても売れないだろうと言っている」というのである。極めて残念。

飲んだビール

窓の外には教会が見える
 CHAPEAU LEMON。これはレモンジュース★★。もうこのあたりで甘いビールはおしまい。最後には、シャポーのフルーツ・ランビック絵柄のTシャツもいただき、醸造所をあとにした。
 後続のセッピィ車がなかなか付いて来れないようである。

【データ】 Brouwerij De Troch B.V.B.A.
Langestraat 20, B-1741 Ternat (Wambeek)
Tel: +32 2 582 10 27 Fax: +32 2 582 72 41
http://www.detroch.be/

 カステール・グラーフェンホフ Kasteel Gravenhof

 Dworpドゥワープの町に来た。ブリュッセルから約12q離れた場所。カステール・グラーフェンホフは、貴族の屋敷として17世紀半ばに完成。その後ルイ14世率いるフランス軍の戦禍に合うが、再建された。威風堂々とした古城らしい構えで、現在はシャトーホテルとして宿泊可能である。
 城の中を見学。部屋も見せてもらう。
 なお、Dworpドゥワープの町は、私のもっとも好きなランビックを作るHanssensハンセンスがある町。

【データ】
Kasteel Gravenhof
Alsembergsesteenweg 676, 1653 Dworp (Beersel)
Tel: 02/380.44.99 Fax: 02/380.40.60
http://www.hvw.be/gravenhof/

6日目(1) 6日目(3)

ベルギービールの魅力
酒蔵奉行所関連

Copyright(C) T.Nawa 2003
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送