第5回ベルギー王国ビール探訪記(12)

5日目(3) トラピストの日
6. Trappist Achel トラピスト・アッヘル
7. ホテルにて
8. Le Jardin de Catherine
9. ホテルにて

 Trappist Achel トラピスト・アッヘル(St.Benedictussaddij/Achelse Kluis)

バールレ・ハートフを後にした我々は、再び南に下りベルギーに入り、東へ向かう。高速道路をそのまま走ると再びオランダ領にはいる。オランダのEindhovenアイントホーフェンから南に下り、ベルギーとの国境上にあるアッヘルに向かうコースを取った。お天気は雨になり、車の運転にも注意。

アッヘルの地図
 赤い線が国境で、北(上)がオランダで南(下)がベルギー。修道院が国境上にまたがって建っていることがわかる。醸造所は黄色の丸印の場所にあり、ベルギービールと認定されている。
 アッヘルに行くには、ベルギー国境手前の道を左(東)に曲がる。オランダ領からアッヘルに入らねばならない。
 修道院はベルギーとオランダの国境にまたがり、かろうじて醸造所がベルギーにあるという理由でベルギービールとして認められている。
 アッヘルに到着し車を駐車場に置く。駐車場も入り口もオランダ領である。
 門を入るとすぐ左右に売店がある。左側はキリスト教関連の本やグッズを売る店。右側はスーパーマーケットのようになっている。
 スーパーの方に入ってみる。入ると野菜や日曜品などが売られていたが、一番奥の方は倉庫のようになっていて、ビール売り場となっている。
 トラピスト・アッヘルの瓶ビールはまだ販売されておらず、売っているのはベルギー全土のビールやグラスである。それも1本単位でも売るがケース売りを主体とした売り方である。グラスとビールのセット物も充実している。
 我々は、アッヘルのビールを飲む前に、再び目新しいビールを発見してしまって、ここでビールを購入することになる。
 シメイ・トリプルのマグナムやシメイ・グラン・リゼルブ1999のプリント瓶、ワロニアの小さな醸造所のビールなど凄い品揃えである。シメイ、ウェストマレなどのトラピストビールやレフ、フローレフ、トンゲロー、コルセンドンク、ボンヌ・エスペランスなどのアビィビールの種類が多いのは、やはりここが修道院であるからであろうか。
 もう大瓶など購入する余裕はないが、アッヘルのグラスやビースを数本選びレジに持参して会計をお願いすると、基本的にオランダーの通貨「ギルダー」が使われているようで、「ベルギーフラン」での支払いに対し、もたもたしたところがあった。このスーパーの場所は、オランダ側にあるのである。
 さて、当の修道院、聖ベネジクト修道院St.Benedictussaddij/Achelse Kluisは、17世紀からの修道院で、フランス革命による破壊ののち、ウェストマレ修道院の僧たちによってトラピスト修道院として復興した。聖ベネジクト修道院は1845年に建てられ、ビール醸造を行っていたが、第1次世界大戦中の1917年、ドイツ軍が醸造釜を持ち去ってから約80年間ビール醸造は途絶えていた。
 それが、1998年12月10日からビール造りを再開し、6番目のトラピスト・ビールとして仲間入りした。醸造するビール名はアッヘルAchelである。なぜ再開したのかというと、若い修道僧が減り、高齢化により農場の維持が困難になったことかららしい。ウェストマレやシメイのようにビールの売り上げに頼ろうということが本音のようである。

メニュー(蘭語)

醸造工程表
建物は、日本の地ビールレストランのようである。醸造設備がガラス越しに見ることができるタイプ。醸造工程を解説した張り紙が壁に貼ってあったが、オランダ語で私には意味不詳の部分が多い。

Tom Poncelet著
"Mouterij en Brouwerij Technologie"

醸造作業中のTom Ponceletさん
奥が煮沸釜、手前がろ過槽

ホップ

発酵タンク
ビールの醸造は、ウェストマレで42年間醸造に携わり退任したトーマス神父が醸造責任者として招かれ、若いトムを助手として、ビールを醸造していた。我々が行ったこの時はそうであった。
※その後、トーマス神父が病気になったので、トーマス神父の推薦により、アントワーヌ神父が招かれ現在ビールを醸造している。アントワーヌ神父は、この修道院の妹分にあたるロシュフォールの修道院(ノートルダム・サン・レミ修道院)で長らく醸造責任者としてビール醸造に携わっていた方である。
※トーマス神父とアントワーヌ神父は、マイケル・ジャクソン著『地ビールの世界』(田村功訳)にも、それぞれウェストマレとロシュフォールの項に登場しています。

左から6、4、5が接続

330ml※左からBlond 6、Brune 5、Blond 4

250ml

チーズ
 醸造するビールは、Blond 4とBlond 6、Brune 5の3種類で、醸造所併設のブルーパブで飲めるだけ。(2001.1時点)
※その後、2001年夏からブロンドの8の瓶ビールの生産を開始し、つい最近2002年5月、Achel Extra Bruin 8というブラウンのビールの醸造も開始され、現在5種類のビールが存在している。
さっそくビールを味わう。味わいは、ブロンド4はアルコール感が弱く、薄く味わい不足の感★★。ブロンド6は、ホップの苦味が利いていて、バランスも取れていてイケル口★★★。ブリュヌ5はカラメルモルトの甘さとまろやかさとともにホップの苦味が利いているがまあまあといったところ★☆。どれもろ過されていて他のトラピストビールの偉大さには全く匹敵しない。出来の悪い日本の地ビールみたいである。時間とともに味わいがストンと落ちて、水みたいになってしまう。(2001年1月)
 グラスの容量は330mlと250mlとがある。せっかくここまではるばるこのビールを飲みにきたのだからもう一杯いただこう。なお、グラスにはいずれもビールのロゴが描かれておらず、また、売店では全く違う形状のオリジナルグラスを販売していた。(※その後、ロゴ入りグラスが発売された。)
 
【データ】 St. Benedictusabdij De Achelse Kluis
De Kluis 1,3930 Hamont-Achel Tel:: 011800760 fax: 011648130
http://www.achelsekluis.be

 ホテルにて

アッヘルでは、満足な食事は取れなかったので、ブリュッセルに戻って美味しい夕食にしようということで、アッヘルを後にする。もう暗くなって、帰りの道は、後続のセッピィ車がついて来れるか心配しながらのブリュッセるに帰還する。
 夕食へ出かけるため、再度の集合時間は午後8時30分と決めた。その時間までちょっと間があいたので、部屋でビールを1本飲む。昨日も今日もビールをさんざん購入したので、日本へ帰るまでに減らさなければならない。
とりあえず1本選んだビールは、KERELSIER(6% 25cl)。NDブランドのクリスマスビール。色はアンバーだが、澱がなく、軽くキレがよいビールであるが、クリスマスビールに求められるようコクがない。★★。

KERELSIER(6% 25cl)
ND
なお、このNDブランドのビールの醸造所名は不明である。

 Le Jardin de Catherine

 集合時間がきたが、集合したのは山田さんと奉行所の3人の4名であった。他の方々はみなお疲れのようである。レストランは近場の聖カトリーヌ教会近くのレストラン街で探すことにした。Le Jardin de Catherineというレストランに入る。
 全員で生ムール貝を食べたあと、全員オマールエビをそれぞれのl調理方法で注文した。
 ワインは、料理に合わせ、白ワイン。始めにロワール地方のメヌトー・サロンを注文。2本目は、ブルゴーニュ地方のプイィ・フィッセを注文。どちらも美味しくいただきました。

Moules Parquées
(350Bf)

Les Hommards/Demi a l'Amoricaine
(750Bf)

Les Hommards/Demi Roti a l'Escargot
(750Bf)

Les Hommards/Demi en Waterzooi
(750Bf)

【データ】 Le Jardin de Catherine
Place Sainte Catherine 5/7, 1000 Brussels 
Tel: ++32 02/ 513 92 62 FAX: ++32 02/513 71 09
http://www.jardindecatherine.be/

ホテルにて

 再びホテルに戻った我々は、部屋でビールを飲む。与力はLA SAINT-MONON AMBERLA SAINT-MONON Bière au mielを提供した。AMBERは、アンバーというよりブロンドに近い色。ホップの苦味がよい★★★☆。Bière au mielは蜂蜜ビール。やや甘味があって旨い。色はこちらがアンバー★★★☆。
 あとはすべて奉行の提供。ENGHIEN NOËL Triple Blondeは、シリー醸造所のビールらしく、金属的な硬質な味。麦芽のコクがある★★★。TROUBADOUR Blondは、ゲントに新しく出来た醸造所のもの。色はブロンドで、苦味とコクとのバランスが優れている★★★★。Cuvée de Bouillon Blondeは、柑橘系それもグレープフルーツの味がする。さわやかで薄く濁っている★★★。La Saison des Chassesは、今回2回目に飲む。オレンジピールの味がしっかりしている★★。
LA SAINT-MONON
AMBER

(6.5% 33cl)
Br.d'Ambly
LA SAINT-MONON
Bière au miel

(8% 33cl)
Br.d'Ambly
ENGHIEN NOËL
Triple Blonde

(9% 33cl)
Br.de Silly

TROUBADOUR Blond
(6.5% 33cl)
Br.De Musketiers

Cuvée de Bouillon Blonde
(6.5% 33cl)
Br.Bouillon

La Saison des Chasses
(Het Jachtseizoen)
(6% 33cl) Br.Bouillon

LIMBURGSE WITTE
(5% 25cl)
Duo-Brouw(Martens & Sint-Jozef)

CHRISTMAS BELL
(8% 25cl)
N.V.Roman

YPERMAN
(5.5% 25cl)
Br.Leroy
LIMBURGSE WITTEは、オレンジピール味がする。非常によく出来たホワイトビールである。旨い出色のでき★★★★。CHRISTMAS BELLは、発泡感やアルコール感がしっかり伝わる。ブラウンエール。濁りあり。ローストした麦芽、ほんのりチョコレート風味があってやや甘味★★★。YPERMANは、軽いブラウンエール。ルロワ醸造所のビールはすべて軽い感じなのであろうか★★★。
 こうして、1日がやっと終わった。これまでに飲んだビールの種類は84種類。残すところあと1日。あと16種類を飲まないと100種類制覇できない。

5日目(2) 6日目(1)

ベルギービールの魅力
酒蔵奉行所関連

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