第4回ベルギー王国ビール探訪記(11)

5日目(1)
1.デュブイッソン醸造所 Brasserie Dubuisson
2.ブラッセリー・レ・クアトロ・セゾン(四季) Brasserie Les 4 Saisons

デュブイッソン醸造所 Brasserie Dubuisson

デュブイッソン醸造所
デュブイッソン社長から話を伺う

 旅の5日目は、ワロニアの2ヶ所の醸造所を訪ねる。ブッシュ・ビールで知られるデュブイッソン醸造所とアベイデ・ロック醸造所である。今日は本来のメンバー9人全員が揃い、早朝ホテルを出発する。

 デュブイッソン醸造所があるピペPipaixの村は、エノー州にあり、ブリュッセルから車でそう遠くはない。幹線道路からピペの村に繋がる細い道に入ると、その風景は農村そのもの。
 ピペの村の中心部に車は行き着いたが、醸造所はどこにあるのか皆目見当がつかず困っていると、1人の郵便配達のおじさんが目に付いた。山田さんは「ブッシュ・ビールを造っているデュブイッソン醸造所はどこでしょう?」と尋ねた。おじさんは、指差し、道を教えてくれた。車は早速Uターンし、おじさんが教えてくれたとおり走った。とそこには醸造所があった。
 よく見ると、醸造所であるがヴァプール醸造所であった。こんな田舎の村なのにピペの村には、2つも醸造所があるのだ。デュブイッソン醸造所との約束がなければ、ヴァプール醸造所を見学したいところだが、それはまた次回ということで(場所はもうわかったので迷うことはない)、再びデュブイッソン醸造所を探さねばならなくなった。
 ちょうどトラックが脇を通ったので、その運転手に場所を尋ねると、「着いて来い」ということで、先導してくれることになった。しかし、あれあれ!道というより農道をどんどん進んでいくではないか。「本当にこんなところに醸造所があるんでしょうかね?」と山田さんは言いながら、トラックを追随して車を運転する。随分走ったあと、急に広い幹線道路に出た。「この先にある」と言って、トラックの運転手は去っていった。デュブイッソン醸造所はすぐに見つかった。

 デュブイッソン醸造所の事務所に入る。通路にはブッシュビールが得た様々な表彰状が飾られていた。事務所の隣は研究室のようである。しばらく待って、デュブイッソン社長が迎えてくれた。社屋の向かい側にあるレセプション用の部屋で社長から話を伺う。
 この醸造所は1769年創業で、デュブイッソン一族の所有になったのは後のこと。デュブイッソン一家はビール造りと農業とを一緒にやっていたが、1933年ビール造りに専念するようになった。ビール名のBushは、Dubuissonの英語読みだという。

ビール醸造については、さっそく工場を見学させていただく。案内はデュブイッソン社長である。

1.醸造釜(煮沸釜)
糖化釜と煮沸釜を兼ねる。1950年代に設置された。容量は9370リットル
(マッシング・タンク)
麦芽の粉とお湯(50から75度)をまぜ、1時間半で甘い麦汁を得る。

(ボイリング・タンク)
次のろ過機でろ過されたあと、再び麦汁は100度で殺菌される。芳香や苦味をつけるためにホップ(ケント・ゴールディングスとシチリアン)が加えられ、最後に砂糖が加えられる。
1時間半の煮沸の間に、約25%の水分が蒸発するので、1回の醸造で約6000リットルの麦汁が得られる。

2.ろ過機
これは、麦汁をろ過するろ過機。





ろ過され、残ったカス(draff)は農家の家畜のエサとして売られる。外で待っているトラックに直接送り込まれていた。

3.発酵タンク
ステンレス製。18,000リットル
酵母を麦汁に加える。1週間の発酵によって12度というアルコール度数が生まれ、自然な炭酸ガスや芳香(アロマ)が得られる。
4.貯蔵・熟成タンク
発酵後のビールは貯蔵庫で4〜6週間冷たい温度で熟成し、味わいが出てくる。
温度計はプラス1度を示しており、表面には霜が張り付いている。

最後に酵母を取り除いて、クリアーで明るい色のビールに仕上げる。
5.瓶詰め
最大1時間に12000本。20000リットルのビールを詰められる。


6.樽詰め
瓶ばかりでなく樽生も当然ある。




7.箱詰め・出荷
 今まで気温の低い寒い部屋を回ってきたが、最後やや暖かい部屋になった。そこには、赤い筒状の器具があり、その先端から熱風が吹き出している。箱詰めをしている作業員のための暖房器具であった。しかし、その姿は、宇宙戦艦ヤマトの波動砲そのもの。中は赤外線で真っ赤。ビールが暖まらないか心配してしまう。

 さて、工場見学を一通りしたあと、レセプションホールでビールの試飲である。ビールは社長自ら注いでくれた。また、ビールのつまみととして、冷蔵庫からブッシュ・ビールを使ったパテ、チーズ、ソーセージなどを出し、ナイフで切り分けていた。

試飲したビールは

 つまみ出されたものがとてもおいしかったので、誰もがお土産に欲しがった。冷蔵庫に入っていたパテやソーセージ類が飛ぶように売れたのは言うまでもない。

ブッシュ・パテ ブッシュ・チーズ ブッシュ・ソーセージ
【データ】 Braserie Dubuisson(28 Chaussée de Mons 7904 Pipaix)
http://www.bush-beer.com

Brasserie Les 4 Saisons

 お昼は、近くの街トゥルネーまで行く。トゥルネーには、街の中心のグラン・プラスにBrasserie Les 4 Saisonsというビアカフェがあるので、行ってみることにした。樽生5種類、瓶ビール30種類程度で、そんなに凄い店ではない。店の名のとおり、店内の壁には4つの季節の暮らし振りを描いた壁画がペイントされていた。

メニューから選んだビールは以下のとおりである。

本当はお昼ご飯なのだが、食欲がなく、私はポタージュを注文した。(Potage 50bf)

【データ】 Brasserie Les 4 saisons (68 Grand Place, 7500 Tournai)

(つづく)


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