ミディの朝市

第3回ベルギー王国ビール探訪記(3)

2日目(1)
  
1.ミディの朝市
2.オー・ラブルール AU LABOUREUR
3.ガラクタ市

 ミディの朝市

 ベルギー2日目は、予定ではほとんどフリーの日。山田さんご夫妻と我々酒蔵奉行所の3人は、朝、ブリュッセル南駅の「ミディの朝市」とジュ・ド・バル広場の「ガラクタ市」を見たあと別行動の予定。TBSのお二方は、早朝から別行動である。
  ★
 ベルギーに限らないが、日曜日には公園や広場では市が立つ。ブリュッセル南駅前でも「ミディの朝市」が立つ。朝8時にホテルを出発するが、冬は日照時間が短いので、まだ明るくなっておらず寒い。プレ・メトロでミディ駅に着いたが、駅前の広場や道路いっぱいに多数の露天商が並び、街の人たちがどんどん繰り出してきて、賑っていていた。山田さんご夫妻と我々は「それぞれ別行動で好きなものを見ましょう!」と、集合場所と時間を決めた上でこれらの店の探検に入った。
 気になる店はだいたい食べ物や食材を扱う店である。八百屋に並ぶ大量のチコリや白アスパラ、魚屋に並ぶ大西洋や北海沿岸で獲れた魚介や桶いっぱいに入ったムール貝(それも非常に格安)、肉屋にぶら下がるウサギの肉等々、ベルギー料理にかかせない食材のチェックは欠かせない。チーズ店では隣国であるフランスやオランダのチーズ、それに似たタイプのベルギー産のチーズなどが本当に安い値段で売られていて、羨ましい限りである。ハンバーガーショプでは、エスカルゴのハンバーガーやブーダンのソーセージを使ったホットドックなども興味をひいた。エスカルゴを塩・コショー味で煮た物も一緒に販売されており、それをちょっと食べてみたが、思わず「ハー、辛!」。多すぎるコショーの使用量に驚いた。それに、このエスカルゴはつぶ貝みたいな感じであった。店にはHAMBURGERS−ESCARGOTSと書いてあって、エスカルゴがファーストフード店における一般的な食材となっていることにも驚いた。
 マーケットをひととおり巡回し、食材関係の店を見たところで、集合時間が迫ってきたので、約束の場所に集まることにした。

串刺しにして、回転させて焼く鳥の丸焼き。この店の前はストーブのようにあったかい。 白アスパラ(この季節では珍しい) 肉屋(吊り下げられたウザギ肉。ケース内は鳥肉)

 オー・ラブルール AU LABOUREUR

AU LABOUREUR 店内の半分はゲームコーナーである。

集合場所は、山田さんの推奨のビア・カフェであるAU LABOUREUR である。この店には、樽生のランビックビールがあるという。山田さんご夫妻は、ちょっと早めにこの店に来て、状況を確認してくれていたが、残念ながらこの日は丁度お薦めの樽生LAMBIC(le verre)は無く、入荷はしばらく先になるとのこと。山田さんが注文したのは、銘柄不明のGUEUSE ARTISANALE (bouchon)であるが、Bouchonは、「栓」の意で、瓶ビールのこと。出てきたビールは、日本にも輸入されているモール・シュビット・グーズMort Subite Gueuzeの瓶であった。ブリュッセルの中心部には、Mort Subite(Brouwerij De Keersmaeker)の直営のカフェ があり、そこで飲んだ樽生はフレッシュで旨いビールであったが、瓶のものは甘味が適度に付けられ、どちらかというと平凡な味わいのランビック・ビールという印象を抱いていた。昨夜オー・ボン・ヴュー・タンで飲んだMort Subite Gueuze樽生の記憶も新しい。しかし、この瓶ビールを一口味わってみて驚き。Mort Subite のGueuzeがこんなに旨いなんて!。酸味・香味のバランスがとれ、より複雑でまろやかな素晴らしい味わいではないか。「普通のMort Subiteとちょっと違いますよね。」と私がいうと山田さんも同じ見解だという。不思議に思いながらも、滅多に付けない★★★☆もの高得点の評価をこのビールに捧げた。あとで調べてみると、この時出されたMort Subite Gueuzeはアルコール度数が6%あり、ラベルも普通のものと配色が異なっていた。レギュラーなグーズは、アルコール度数4.5%で甘味が付けられている。この6%のグーズはMort Subite Fond Gueuzeといい、甘味を付けない伝統的な造りをした本物のグーズで、レア物のビールであった。Fondとは、オランダ語で「奥深い」「根底」という意味がある。

 さて、我々も仕方なくメニューから適当なビールを選び注文したが、メニューには、ランビック系のビールはグーズとかクリークとしか書いておらず、銘柄名の記載がないので、一体どこのメーカーのどんなビールが出てくるのか不安である。

Mort Subite Fond Gueuze
アルコール度数6% 37.5cl (100BF) 。
ラベルの色が下の写真と異なる。
アルコール度数4.5%のGueuzeのラベル

 もう1品、銘柄不明のKRIRK EXTRA(bouchon)を代官が注文したが、こちらは出て来てみると、デ・ネーヴェ・クリークDe Neve Kriekで、インターブルー傘下のベルヴューBelle Vueで生産されている甘味を付けたランビック・クリークである。ベルヴュー・クリークと同等製品なのか、酸味もきつくなくほどよく甘く飲みやすいが、ろ過されていて、複雑味のないビールである★★☆。
 他に頼んだビールは、バルバールBarbãr とトンゲルロー・ブロンドTongerlo Blondeである。バルバールは、ルフェーブル醸造所(Brasserie Lefebvre)の比較的新しい銘柄で、今、ベルギーで最も売出し中のビールの一つかもしれない。ベルギービールは、ホップ以外にもさまざまなスパイスやハチミツを入れて醸造する場合が多い。それらのスパイス等を使用した場合でも、何のスパイスを入れたか解りそうで解らない程度の量を配合することが基本だという。逆に、何のスパイスをどれだけ使用しているかは、その醸造所の秘伝だったりするのである。しかし、このBarbarは、瓶にもハチミツビールであるとの表示があるとおり、はっきりとハチミツの味を感じるビールである。しかも、ジョッキに注がれたビールの泡も他のビールと比べてどことなく黄色い。ほんのちょっぴり甘みも感じる。アルコール度数8%。★★☆に評価する。
 トンゲルロー・ブロンドは、出て来てみるとトンゲルロー・トリプル・ブロンドTongerlo Blonde 8°Tripel Blondeであった。この銘柄にはダブル・ブロンド6°もあるので、メニュー表記の「Tongerlo Blonde」だけではどちらかわかない。大手のハックト醸造所(Brouwerij Haacht NV)によるアベイ・ビールである。味わいは単純だが、バランスはとれている。金属的な硬質感がある★★★。

Barbar 8%
33cl (80BF)
Kriek De Neve 5.2%
37.5cl (100BF)
Tongerlo Blonde 8°
Tripel Blonde
8% 33cl (90BF)

 この店で熱心にビールを評価しメモ帖に記入していたら、店の人が「どうぞ」とメニューの紙をくれた。店内は天井が高く、広い空間であるが、半分はゲームコーナーとなっていて、ゲームセンターにビリヤード台が置かれているようなカフェである。

 ジュ・ド・バル広場Pl.du jeu de Balleの「ガラクタ市」

のみの市だが、骨董市というよりはガラクタ市。
ここで買った絵が実はゴッホの絵だったという話もある。

 ミディの朝市を後にして、今度は、ジュ・ド・バル広場Pl.du jeu de Balleの「ガラクタ市」に向かう。広場に着いたところで、山田さんご夫妻と奉行所の3人は解散する。山田さんはお店に置くビール関連の飾りや置物などを探す予定で、特にビール醸造所を訪ねると必ず置いてあるのだが、ベルギービールの守護神アルノーSt.Arnold像は是非見つけたいとのこと。
 我々も手荷物として持ち帰れそうな小さなビール関連のものでもあればと広場を一周する。ビールグラスは結構いっぱいあるのだが、ステラ・アルトワのピルスナー用グラスが大半である。古いグラスとなるとほとんど見つからない状態の中、ウェストマーレWestmalleの今は使用されていないデザインのグラスを見つけた。3つほど同じ物が並んでいて、値段を聞くと70BF(約250円)というので、安いと思い、私(奉行)と与力が購入する。
 他にはめぼしい物が無いので、いよいよ列車に乗って他の都市に向かうことにした。(つづく)

ビールグラスも並んでいるが、なかなか珍しいものは見つからない。 見たことが無いウェストマーレWestmalleのグラスを発見。70BF(約250円)で購入。 我々がウェストマーレのグラスを買ったあと、箱から新しいグラスを出して並べだした。(いっぱいあるらしい)

初日   2日目(2)


ベルギービールの魅力
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