第2回ベルギー王国ビール探訪記(2)

はじめに

 初めてのベルギービール探訪の旅(平成7年12月)から2年の月日が流れた。この間にわが国はベルギーのビール醸造所数を追い抜き一躍地ビール王国となった。だが、さまざまなタイプのビールが醸造されてはいるものの、ビールの個性という面では今以てベルギーに優る国はない。ベルギーでは日本の地ビールを遥かに凌駕する個性を持ったビールが地方色豊かに生産され、その土地の人々に愛飲されているのである。
 そこで、我々はベルギービールの地方ごとの個性を確認すべく、再びベルギービールの探訪に旅立ったのである。 (奉行)

 * ベルギーでも地ビールブームで、1993年当時106ヵ所だったのが、1996年現在117ヵ所に増えている。    


日程表
12月 6日 東京→ブリュッセル(泊) *カフェ:シェ・ムーデル・ランビック
12月 7日 ゲント *カフェ:デ・デュレ・グリート、トロルケルダー
12月 8日 ナミュール *醸造所:レ・ザルチザン・ブラッスール(ミブラナ)
  ブリュッセル *カフェ:スピネコプケ
12月 9日 アントワープ *カフェ:クインティン・マトサイス、パータス・ヴァーチェ、クルミナトゥール
12月10日 ブリュッセル >*醸造所:ミロワール
  *ビール醸造博物館
*カフェ:ア・ラ・ベカッセ、シェ・ムーデル・ランビック
12月11日 ゲント *カフェ:ヘット・ワーテス・アーン・ビアカント、 ホップ・デュヴェル
12月12日 ブリュッセル→12月13日東京

 ベルギーの歴史と言葉

 ベルギーで一番苦労するのは言葉である。ビールを注文するにもメニューが読めないと戸惑うし、ビールのラベルを読むにもそれなりの知識がないと、そのビールがど んなビールなのか解らずじまいとなる。現地でビールを注文し、味わうためには、ベルギー王 国の複雑な歴史と民族・言語構成をしっかり把握しておく必要がある。 ベルギー王国の面積は約 3.1 万uで、これは日本の関東地方と同じくらいの面積である。この小さな国には9つの州があるが、 フラマン語(=蘭語の方言)を話す北部のフランドル地域とワロン語(=仏語の方言)を話すワロン 地域の2つに分けられている。

 16世紀にネーデルランド北部7州がオランダとして独立後も南部諸州はハプスブルク家の統治下 に置かれた。1794年フランス革命軍によりフランスに併合されたが、ナポレオン戦争後のウィーン条約(1815 年)によりオランダ王国の一部となった。この時共通語がオランダ語と定められたことによりワロン語圏の人々が反発し、1830年のベルギーの独立に至った。この経緯から今度はワロン語だけが唯一の公用語とされた ことで、フランドル人から言葉の権利回復運動が起き、言語戦争となった。1898年にフラマン語も公用語 とされて以来、フランドル地域ではフランマン語だけを使用していくようになり、1993年の憲法改正によっ て、フランドル、ワロン、首都ブリュッセルの3地域からなる立憲君主制の連邦国家となった。北部フラン ドルに属しながら首都であった理由からワロン語を主に話すブリュッセルはフランマン語とワロン語、フラ ンドル地域ではフラマン語、ワロン地域ではワロン語がそれぞれ公用語とされており、一部ドイツ国境地域 ではドイツ語が公用語となっている。

 国家組織もそれぞれの地域に行政府と議会が設けられているという複雑な情況にあり、EUの本部を置く ヨーロッパ統合の中心にある国なのに、その国内は統合とは逆に分裂の方向に進みつつある国なのである。  


目次


ベルギービールの魅力
酒蔵奉行所関連

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