第1回ベルギー王国ビール探訪記(8)

ビール醸造所探訪(2)

地ビール醸造所ドムス

 ブリュッセルから国鉄で北へ20分ほどの所にルーヴェン(LEUVEN)の街がある。この街には、ステラ・アルトワで有名なイン ターブルー社の工場があり、駅に到着する直前、その巨大な工場が右側の車窓から見える。中世以来の伝統(1425年創立) を誇る有名なルーヴェン・カトリック大学が街の中心にあり、学園都市でもある。中心の広場グローテ・マルクト GROTE MARKTには、市庁舎と聖ペテロ教会があり、どちらも15世紀の建物。市庁舎の地下にはビール博物館があるが、今回は見学出来なかった。

 この街のカフェには、インターブルー社のアベイビール:レフェLEFFEの看板がよく出ている。駅前通りには、カフェ・レフェ CAFE LEFFEもある。我々は、DE KANSEL という名のビストロで、サーモンや野ウサギの料理を昼食にした。一緒に味わったビールは、LEFFE BRUNE の樽生。この店の内装や家具は、アンティークなものだった。 
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ドムス さて、 この街には、 ベルギーでは珍しいハウス・ブルワリー(ブルーパブ)がある。それが、ドムス(BROUEHUIS DOMUS)である。100ヵ所以上あるベルギーの醸造所でもハウス・ブルワリーはほんの数ヵ所。 その最初がここドムスで、創業は1985年8月。ピルスナーのクリスタル・アルケン CRISTAL ALKENを醸造していたアルケン・クリスタル醸造所(仏のクローネンブルクKRONENBURG社が買収、 その後マースMAES社と合併、現在アルケン・マース社)の元の醸造者が地ビールを造っている。

 カフェの建物は意外に大きく、奥でL字形に曲がっている。カフェの隣の細い脇道を建物 沿いに進むと地ビール醸造所がある。醸造所の窓は大きく、窓越しに貯蔵タンクや醗酵タンク など覗けるようになっている。玄関の扉を開けると若い男性が一人で醸造作業をしていた。見学を 申し込むと、やや困った風であったが、説明してくれることになった。蘭語と仏語、どちらで説明すれ ばよいかと言っている(ルーヴェンは蘭語圏)ようであったが、困っていると英語での説明も可能というの で、英語で説明をお願いすることになった。といっても、醸造の専門家でない我々にとって、専門用語で説 明されると、やっぱり何だかわからない部分が多数あった。

発酵漕

 醸造所の中には、醸造関係の部屋が4つあって、それぞれ10畳くらいの広さ。仕込み関係の部屋 (2部屋)、醗酵槽がある部屋、貯蔵タンクのある部屋に別れている。煮沸釜は、直径1.5m程の小さなもの1台で、 この釜の回りにはレンガが組まれている。
 隣には、木製の仕込みタンクが3本。高さ1mほどのが1台と1.5m程のが2台。大きい方は1,200リットルの容量。 使用している麦芽やホップ、酵母について説明を受けた。ベルギー製の醸造プラントを使用せず、イギリス製の醸造 プラントでビールを醸造しており、醸造するビールのほとんどが下面醗酵酵母を用いていることもベルギーでは珍し い。年間生産量は、その醸造設備の規模どおり1,000hlと非常に少ない。

 醗酵槽は一番奥の部屋にあって、その部屋の天井を見ると、壁の端から端まで1本のパイプが渡っている。 管を通して、ビールをタンクから直接隣のカフェに送り込んでいる。各部屋を繋ぐ通路のような細長い部屋?が 一応事務所みたいになっている。そこには簡単な瓶詰器が1台あり、ビールの樽や瓶が置かれていた。この場所 で瓶詰や樽詰を1本1本手作業で行なっているという。なお、ドムスの瓶は1lと2lの通い瓶のみの販売であり 、普通のボトルはない。

 扉の上の神棚のような所に聖人像を祭っているが、聖アルノルドスというベルギーのビールの守護神で、11 世紀にペストが流行した時、十字架を醸造釜に沈め、水を飲まずにビールを飲むように民衆に伝え、その後ペストは鎮まったという。

店内

 さて、我々はビールを味わうべく、醸造所の隣のカフェに場所を移した。まずは、定番ビールのノストラ・ドムス NOSTRA DOMUS を味わう(250m l50BF)。 アンバー色した下面醗酵ビールでウィーンタイプのビール。コン・ドムス CON DOMUSは、ピルスナービール。いずれも桃の香味がするさわやかなビールである。ルーヴェン・ホワイト LEUVENDIGE WITTE(250ml 50BF)は、やや甘味の残る濾過していない 白ビール。以上3種類が常時飲めるビールであるが、他に4種類の季節のビールを醸造している。@2月の ABT BIJBIER A4月のOCHTEND KRIEK B5月のBLOK-BOK C12月のENGELである。この時はちょうどENGELを飲むことが出来た。ENGELは、ダブル・ボック のビールで、アルコール8%。黒色でスパイシーな香りと苦みのある味わいで、クリスマスビールとして醸造されている。

 カフェでは、自家醸造以外のビールも多数取り揃えており、アンティークな内装も伴って、歴史的雰囲気が十分感じられた。

(奉行)
【データ】 HUISBROUWERIJ  DOMUS (8 Tiensestraat,LEUVEN)  016 29.18.68
BROUWHUIS DOMUS (8 Tiensestraat 8,LEUVEN) 016 20.14.49 
評価:CAFE>★★★★ BEER★★★★ 毎日9:00〜

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